1995年10月24日 日食観測記


  
 
観測場所はインドのロバートガンジーという所で、中央部に位置します。

日食の皆既帯が今回は狭く、皆既時間も中心で約1分と短いものでした。
従って正確に中心に入らないといけないということで、電卓を片手にもう
一方の手には地図を、首にはGPSを持っての移動ということになりました。

インドの田舎道はまるでアフリカのようで、80kmを進のに車でなんと4時間
もかかってしまい、目的地についたのは朝方の4時位になってしまいました。

皆既は8時30分の予定なので、余裕かというとそうでもなく、機材の設置に
かなりの時間をようするものですから、本人」としてはパニック状態と言って
も過言ではなかったようです。(後で友人から様子を聞かされました)

全皆既の約1時間まえから太陽がかけ始め、はじめのうちはさほど気にならな
かったのですが、段々太陽が隠れて来るに連れて、回りの気温がさがってきます。
前回観測したインドネシアは湿度も高くそれほど温度の変化については感じなかった
のですが、今回のインドは湿度も低く標高も500m位あったものですから、温度変化
には敏感に感じられたのだとおもいます。

やがて90%がた隠れると回りがたそがれてしまい、まるで薄暮のようでした。

これから間違いなく起こる全皆既に対して、事前にフォーマットを決めてあった
事項の確認を行いました。第2接触時のカメラの設定、フィルムのコマ数、フィルター
の交換等。 意外に冷静に対応してました。

いつの日食もそうなのですが、ダイヤモンドリングは入る時と出る時に起こりますが、
出る時のほうがきれいなのです。 それは月の表面の凹凸の関係で、出て来る時(第3接触)
の方がクレーターの山のギザギザが大きい事に起因しています。

目に鮮やかなピカーと光る一条の光りと共にダイヤモンドリングが起こりました。

その後すーっと光りが消えます。一瞬真っ暗になり、その後黒い太陽のまわりから、
緑青っぽいコロナが見えます。肉眼でも流線がよくみえます。

吹いていた風も心なしか弱まったように感じられます。耳にはJJYの規則正しい音
のみが入ってきます。その様子をテープレコーダーに録音すべく、しゃべらなくては
ならないのですが、声がでてきません。

双眼鏡で覗くと何か所か深紅のプロミネンスが見えています。
回りは月夜位の明るさです。

回りの星たちが輝いています。火星、金星

私は彗星屋なので、これから来る彗星 Hale-Boppを捜します。
これかなと確信を得られないまま、隣の声が聞こえます。 "出るぞー"

全皆既を終えて太陽が顔を出してきます。上部の一部がもわーと明るくなったと思った瞬間
第2接触を上回るピカーという光線。

今まで冷静に観測していた気持ちが、一瞬にして高揚するのが感じられます。

見事なダイヤモンドリング。言葉では言い表せない色、光。

初めて録音しているテレコに自分の声が入りました。"きれいだー"


じょじょに光りが戻ってきます。回りを見回すとあまりの感激のため、女の子たちが涙を
流していました。



天文の現象は色々ありますが、やはり日食が一番です。

1997年にモンゴルであります。
1998年にカリブ海であります
1999年にパリであります。
皆さんご一緒しませんか。

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島野 和博

shimano@men.co.jp

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